京都の大学院生

とあるしがない大学院生の戯れ言。映画のことを中心に、たまに日常で感じたことを書き留めていく。

マイナーなやくざ映画 しあわせになろうね 極道解散

f:id:zingizekkyou:20191115012415j:plain

しあわせになろうね 極道解散(1998)

たまたまYouTubeにアップロードされていたので「しあわせになろうね 極道解散」を見た。谷岡雅樹Vシネマ魂」の中でやけに褒められていたので、いつしか観てみたいと思っていたのだ。ところがそこはVシネマ、なかなか今のご時世でDVDがレンタル店にあるわけでもなく、なかば諦めていたところだったのである。この巡り合わせは行幸というべきか。upしてくれた人には感謝せねばなるまい。

 翌日に解散を控えた山守組。組長はホステス出身の妻とヨーロッパでハネムーンを。主人公の京介(哀川翔)は結婚を。幹部の木内は故郷に帰って親孝行を。同じく幹部の大滝はそれぞれまた別の組へと。皆は思い思いの夢を描いていた。ところが、手打ちをしたはずの笹島組の組長が射殺されるというニュースが入ってくる。間髪いれずに、組員の1人であるヒロシから電話がかかってきて、「山守組は永久に不滅です」という謎の言葉を残していく。不安に駈られる組員たち。笹島組の組長を殺害したのはヒロシなのか。そもそも殺害したとして、翌日の解散式はどうなるのか。組員たちは不安に駈られ、それぞれの義理人情と夢を天秤にかけながら、狭い事務所の中で奔走していく…。
f:id:zingizekkyou:20191115012443j:plain
良い映画であった。映画が上映された1998年の頃には既に暴力団対策法は施行されていたから、シノギが削られて割りに合わないヤクザ、という設定は時代の流れに沿ったものだったのだろう。ヤクザたちは各々が組が解散したあとの幸せを描く。しかし、思わぬトラブルでそれらが叶わぬ夢となってしまうのだ。抗争を続けたいもの。早く解散してカタギになりたいもの。「おれたちはただ幸せになりたいんだ!」最後のシーンでの組長の叫びは、そのまま映画のタイトルにも繋がっていくのである。私は昔からハッピーエンドが好きだ。暗い映画も確かに良いのだが、やはり登場人物全員が幸せになるのに越したことはない。それにしても、ヤクザモノのジャンルは奥が広い。三池崇史監督では「極道恐怖劇場 GOZU」「フルメタル極道」、オールインエンタテイメントでは「二代目はニューハーフ」「極道甲子園」なんてものもある。この「しあわせになろうね 極道解散」もそうだが、正反対の属性のものと絡めると、不思議とヤクザは相性が良く馴染むようである。だからこそ、暴対法や暴排条例で実在のヤクザが瀕死に至った今になっても、フィクションで彼らは不滅であり続けるのだろう。